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ドイツの町並み
ドイツの町並み

 今から約20年ほど前ですが、ドイツに3年半ほど住んでいました。
 ドイツの冬はとても暗く、また寒い冬です。私が住んでいた地域はズィーゲンと呼ばれるドイツの中部に位置する田舎町でした。
 日本の気候でいえば、ドイツの11月から3月までは冬です。
 他の人と会うことも少なくなって、家の中で過ごすことが多くなる季節です。
 もちろん、家の中はセントラルヒーティングがあるので暖かいのですが、外はいつも寒いです。 どうしても、人と距離ができてしまう季節なので、冬はとても長く感じる季節でもあります。
 
 また、街から街まで行くには常に森の中の道を走らなければ隣の街にも行けませんから、車で移動する時も、いつも真っ暗な森の中を車で走ることになります。
道は寒さで凍り、街灯も少なく、車で移動しているといつもどこかで不安な気持ちになります。ところが、暗い冬の道を車で移動しながら、少し大きな街にたどり着くと、突然雰囲気が変わります。

クリスマスのイルミネーションにあやどられた、賑やかな灯りが、人々を迎え入れてくれるのです。
街の真ん中の「マルクトプラッツ」と呼ばれる広場には「クリスマスマーケット」が開かれ、人々を暖かな光が包み込んでくれます。小さな小屋が立ち並び、さまざまなクリスマスプレゼントになりそうな商品が並びます。
そして、ホットワインや、ソーセージ、香辛料のたくさん入ったお菓子の匂いが人々の心を和ませてくれるのです。

ドイツのクリスマスマーケット
ドイツのクリスマスマーケット風景

クリマスマの季節は、この暗さと明るさ、寒さと暖かさのコントラストをはっきり感じる季節です。
クリスマスのことを「光の降誕祭」と呼ぶことがあります。
「降誕祭」というのは「クリスマス」のことです。神の御子であられるイエス・キリストがお生まれになられたことをお祝いする日です。
オランダの画家、レンブラントは、光と闇を描き出す画家として知られていますが、クリスマスの絵はいつも、生まれたばかりの赤ちゃんが光のみなもととなるように描き出しました。

レンブラントの絵
レンブラントの絵


そして、そこに集まってくる人は誰でも、この赤ちゃんから光を一身に受けることができるのです。
 どんなに暗いところにいる人も、どれほど寒い思いを味わっている人も、クリスマスは、
 この時お生まれになられたイエス・キリストから光と温もりを与えられる嬉しい喜びのお祭りなのです。


 笠松キリスト教会牧師 鴨下直樹