禁教下の最後の司祭
小西マンショという人物をご存じだろうか。天正遣欧使節の伊東マンショとは別人である。実を言えば、私自身は小西マンショの名を知ったのはごく最近のことである。加賀乙彦氏の小説『殉教者』―殉教者とはペトロ岐部カスイのことである―を読んだ際、作中に登場する人物として初めてその存在を知った。「マンショ」とは、「温和な」「柔和な」を意味するラテン語 Mansuetus(マンスエートゥス)に由来すると考えられている。
最近、直木賞作家・川越宗一氏の小説『パシヨン』を読み始めたのだが、本作ではこの小西マンショが主人公として描かれている。川越氏の作品を手に取るのは、『大日の使徒』以来であるが、同作はフランシスコ・ザビエルを日本へ導いたヤジローを描いた歴史小説であった。『パシヨン』は『大日の使徒』に先立って書かれた作品であり、川越氏にとって初のキリシタン小説である。

(熊本県宇土市・宇土城本丸跡)









