岐阜キリシタン小史(39)―『南蛮屏風』に描かれたロレンソ了斎―

下の老人の絵をご覧いただきたい。
和服姿で、右手に杖、左手にロザリオを握った年老いた日本人修道士。この人物こそ、イルマンのロレンソ了斎であるとされている。白い眉毛で背中が曲がった老人の姿は、当時の記録に基づいた彼の特徴であったという。
この図像は、狩野内膳(1570~1616)が描いた『南蛮屏風』の右隻に描かれている。

内膳の落款を伴う『南蛮屏風』は5 件確認できるそうであるが、この屏風は神戸市立博物館蔵のものである。(余談であるが、この博物館は前身のひとつが神戸市立南蛮美術館であったため、南蛮美術の世界的なコレクションを多数所蔵していることでも知られている。)

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岐阜キリシタン小史(38)―日本宣教を支えた修道士・ロレンソ了斎―

16世紀、日本にキリスト教が伝来し、多くの宣教師たちが来日して宣教活動に励んだ。ザビエル、フロイス、ヴァリニャーノ―彼らの働きは広く知られているが、その陰で日本人イルマン(修道士)のすばらしい働きがあったことをご存じであろう。もし彼がいなかったなら、日本の宣教は大きく遅れていたに違いない。その名はイルマン・ロレンソ(ロレンソ了斎)。そのロレンソ了斎(以下ロレンソとのみ記す)について、今回から数回にわたり紹介したい。また、このロレンソと岐阜とはわずかではあるが関わりがあるので、そのことについても触れていきたい。

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岐阜キリシタン小史(37)《証し》感謝!!「美濃のキリシタン」展

この夏、岐阜県美濃加茂市にある美濃加茂市民ミュージアムで「美濃のキリシタン秘められた祈りの証し」展が開催された(2025.7.12-8.24)。私は、個人で、現地ミニツアーで、講演会で、そして妻と、都合4度、足を運んだ。少し遅くなったが、今回はこの企画展を通して教えられたこと、気づかされたことを書いてみたい。

「美濃のキリシタン 秘められた祈りの証し」展(美濃加茂市民ミュージアム)
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主日礼拝メッセージ 使徒信条の信仰14「聖徒の交わり」2025/10/19

聖書箇所:ヨハネの手紙第一 1章1-10節
鴨下直樹牧師

 

 使徒信条の信仰をよく理解していただきたいと願いながら、少しずつ使徒信条の聖書箇所からみ言葉を聞いてきまして、今回で14回になります。今日のところは使徒信条の「聖徒の交わり」という部分です。

 この礼拝に集っておられる方々は、この笠松教会で洗礼を受けられた方が少なくありません。けれども、他の教会で洗礼を受けて、引っ越しや、結婚や、あるいは何らかの事情でこの笠松教会の礼拝に集っておられる方もあると思います。あるいは、まだ洗礼を受けておられない方もおられます。今この礼拝に、実にさまざまな地域で生活され、また信仰に導かれた方々がここで一つにされているという不思議さを感じます。生まれた地域も違えば、信仰に導かれた教会も違う、あるいは、さまざまな異なる考え方をしている人たちが、こうして一つの教会にされています。これが、「聖徒の交わり」という言葉で表現されている教会の一つの姿です。

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主日礼拝メッセージ ノアの箱舟2「戸が閉ざされる前に」2025/10/12

聖書箇所:創世記7章1-16節
鴨下直樹牧師

創世記7章1-16節 「ノアの箱舟2 戸が閉ざされる前に」2025.10.12

 昨日から少しずつ雨が降り始めていまして、今週いっぱいは雨が続くそうです。毎日毎日雨がつづくと本当にいやな気持になります。私の父が、かつて小さな本を書きました。『ジュニアのはこぶね』というタイトルの本です。父が中学生の頃、雨が降って体育の授業ができなかった時に、当時の学校の先生が「今日はお話をしてあげます」とノアの箱舟の話をしたのだそうです。その経験が、この本のタイトルになったというわけです。父が若い時に聞いた、ノアの箱舟の話はとても印象的だったようです。後になって父が信仰をもつようになり、聖書の物語だと知るようになってようやく、その先生はクリスチャンであったかと気がついたようです。若い時、雨が降った時に、ノアの箱舟の話を聞いた。それは、父にとって衝撃的な話だったようです。だから覚えていたのだろうと思うのです。

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